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  • 執筆者の写真Dr. K. Shibata

自分の考えを「英語で話す力」:日本人の課題

日本人が英語で「意見」を述べることのハードルとは何か?



日本人の英語学習者は「英語が話せない」というより「そもそも意見がない」という壁にぶつかる、という短い動画 (59秒)付きのXのポストを今日、たまたま読むことがありました。



私も同意できる意見だな、と思い、動画を視聴しました。しかし、彼女の意見は、自分の想像とは少し違っていました。彼女の主張は、どちらかといえば、日本人は「意見がない」から英語でそれを言えない、というよりも、むしろ「意見はある」けれども、周囲との摩擦や他人と違う意見を述べることへの抵抗といった文化的要因から、日本人は自己主張できないのだ、というものでした。


もちろん、この動画で指摘されたように、自分がその話題について十分に知っていて、かつ自分の意見があっても、日本語文化では自己主張をしにくい環境があることは事実です。これには主に二つ理由があると思っています。


一つ目は、「正解はひとつしかない」という日本(東アジア)の教育文化のせいです。東アジアでは、教師など、権威のある人間の主張が正しく、それ以外は「不正解」とされる「受験文化」が強固です。一方、英語圏など欧米の文化では、「人々の意見は違う」ことが前提であり、特に大学生以上の大人で、他人にいつも同調している人間は「自分の意見がない」と見做され、日本とは逆に、人から信用されづらかったり(正直でないと思われる)、不審に思われたりします。


二つ目は、最初の理由とも関連しますが、アジアは、やはり「権威主義社会」であり、常に序列を気にする必要がある社会構造なので、他人、特に自分より立場が上の人間と違う意見を述べると、不利な扱いを受けるリスクがあることです。大多数と違う主張をしても、社会的制裁を受けない、という心理的安全性が担保されなければ、日本人はなかなか自己主張しづらい、という現実があります。しかし、この文化的要因は個人の語学力とは別の話であり、「自分の意見がない」から英語が話せないのだ、という主張とは噛み合いません。


あるテーマについて、日本人が英語で議論できない理由は複数あります。日本人が英語で話す時に「(主に時事問題について)意見がない」状態になる理由は以下の順序で存在する、と思っています。


①その問題に関する基礎知識がない

②知っていても、それを批判的に捉える訓練が出来ていない

③その話題についての意見を形成できない

④その問題を話すための英語の語彙を知らない

⑤英語の意見発表の練習が不足している


この中で、私が一番問題だと思っているのは②の複数の情報を批判的に分析する思考力(リテラシー)が、圧倒的に不足していることです。これがないと、自分の意見を形成することが難しく、現代の情報社会で圧倒的に不利な立場に置かれます。それを象徴するような調査結果が本日、読売新聞から発表されました。記事は、以下のように始まります。


「デジタル空間の情報との向き合い方を調べるため、読売新聞が日米韓3か国を対象にアンケート調査を実施した結果、米韓に比べ、日本は情報の事実確認をしない人が多く、ネットの仕組みに関する知識も乏しいことがわかった。日本人が偽情報にだまされやすい傾向にある実態が浮かんだ。」

日本は米・韓より「偽情報にだまされやすい」、事実確認をしない人も多く…読売3000人調査 : 読売新聞オンライン


これは権威主義社会の教育の最大の問題点であり、日本人が今後学ぶ必要の高いテーマだと考えています。そのため、以下のワークショップを,過去に何度か開催しています。


講義&ワークショップ「批判的思考力を鍛える-A」第7回 12/29(金)20時@オンライン|Global Agenda


今後もこのワークショップは開催予定です。その他のイベントもニュースレター(無料)で発表予定なので、購読がまだの方は以下のサイトから、是非、登録をお願いします。


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参考資料


建設的な議論をするために:言葉の「定義」に注意を払う|グローバルなコミュニュケーション能力とは何か?


外国語学習の科学: 脳科学からのアプローチ| 最新の脳科学の知見から効果的な英語学習法を知る


伝えるための英語力:日本語話者が英語スピーキングで注意すべき点|Global Agenda

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