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執筆者の写真Dr. K. Shibata

3/8(木)朝英語の会梅田のテーマ:学校の役割と制服、個性及び地域特性について



学校の役割とは何か?

3/8(木)の朝英語の会梅田のテーマが決まりました。SNS上で大きな話題を呼び、メディアでも何度か取り上げられた銀座の公立小学校、泰明小学校が「9万円のアルマーニ」を標準服として採用した件です。

泰明小学校の校長は「子ども達の日常の振る舞い、言葉遣い、学校社会という集団の中での生活の仕方など、どのような思いや願いがあって本校を選択されたのかが分からない」から、この小学校の生徒としてのプライドを持たせるためにアルマーニの標準服を採用したと説明しています。また「服育」という概念を使い、「ファッション」が人間の行動を変えるという理論を持ち出してこの標準服の役割を擁護しています。

実際、「マイフェアレディ」「プリティウーマン」「王子と乞食」など、映画や小説の中でファッションを中心にして、それを着用した人物の行動様式が次第に「成功者」のそれに変わっていくというストーリーがあります。また、「シャネルスーツ」「ミニスカート」の誕生に見られるように女性の社会進出や自己表現の自由とファッションが歴史的に綿密に結びついていることも事実です。

しかし、今回は標準服ですが、学校の制服には大きな違いがあります。まず、生徒は原則、自分で通学する学校の制服を選べないということです。特にこの学校は児童数が極端に少ない地域とは言え、公立小学校ですから、この地域に住む児童はほぼ自動的にこの学校に通学することになります。また身なりの規制や強制は「自己表現の自由」とは真逆の立場にあり、生徒の個性を抑圧することにもつながります。実際、私が通っていた公立中学は当時の学校のルールでは男子は全員丸刈りでしたし、公立高校はパーマを禁止していました。それ故に厳しい服装規定があり、私はこの「管理社会」という点で学校が嫌いでした。この観点からみると「服育」の目的とは何か疑問が残ります。

また、批判が寄せられたのは公立小学校であるにもかかわらず、9万円台と破格の価格設定の標準服が採用されたこと、そして、その決定のプロセスが保護者には十分に説明がなく、学校内でも議論がほとんどされてなかったことです。わが国ではこの20年、経済格差が拡大し、子供の貧困が大きな社会問題となっています。その時代に高価な制服が公立小学校に導入されることに疑問を持った人が大勢いたのも当然です。そして、何より、その決定のプロセスが透明ではなかったのですから、校長は批判されても仕方がないでしょう。

実は「学校の制服に反対か賛成か」という設問はTOEFLやIELTSなどの英語試験で頻繁に採用されている問題です。それぞれの決定に様々な長所と短所があるからです。大変興味深いテーマです。皆さんの次回の議論に期待します。

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